日本哲学史研究への案内

日本哲学史あるいは日本思想史を研究するための入門となる基本的な文献を紹介します。主として、学部生が研究を始めるきっかけを提供することを目的として、本研究室の大学院生が書いています。

 

代表的な思想家

近代日本における代表的な思想家の生涯と思想、テクストに加え、研究を開始するにあたって適切な入門書をまとめています。

西周 1829-1897(文政12-明治30) 哲学者。著書に『百学連環』などがあり、philosophyという言葉に「哲学」という訳語をあてた。
福沢諭吉 1835-1901(天保6-明治34) 啓蒙思想家。著書に『学問のすすめ』などがあり、実学による一身独立と一国独立を説いた。
中江兆民 1847-1901(弘化4-明治34) 哲学者。著書に『一年有半』などがあり、『社会契約論』を翻訳し、「東洋のルソー」と呼ばれた。
内村鑑三 1861-1930(文久2-昭和5) キリスト教学者。著書に『余は如何にして基督信徒ととなりしか』などがあり、聖書研究を行った。
岡倉天心 1862-1913(文久2-大正2) 美術行政家・思想家。著書に『東洋の理想』などがあり、東洋美術を捉え直し東京美術学校の設立をした。
清沢満之 1863-1903(文久3-明治36) 仏教学者。著書に『宗教哲学骸骨』などがあり、精神主義を唱えた。真宗大学初代学長。
大西祝 1864-1900(元治元-明治33) 哲学者。著書に『良心起源論』などがあり批評主義の立場から思潮評論と学問的営為の架け橋をした。
北村透谷 1868-1894(明治元-明治27) 詩人・思想家。著書に「人生に相渉とは何の謂ぞ」などがあり、内面性の思想と作品を残した。
西田幾多郎 1870-1945(明治3-昭和20) 哲学者・著書に『善の研究』などがあり、東洋思想と西洋思想を融合した「西田哲学」を創り上げた。
鈴木大拙 1870-1966(明治3-昭和41) 仏教学者。著書に『日本的霊性』などがあり、禅の思想を研究し欧米においても禅の思想を広めた。
柳田国男 1875-1962(明治8-昭和37) 民俗学者。著書に『遠野物語』などがあり、民間伝承等を調査し日本において民俗学を開拓した。
波多野精一 1877-1950(明治10-昭和25) 宗教哲学者。著書に『時と永遠』などがあり、キリスト教の立場から宗教的生について論じた。
田辺元 1885-1962(明治18-昭和37) 哲学者。著書に『種の論理の弁証法』などがあり、西田哲学を批判しながら行為の哲学を論じた。
高橋里美 1886-1964(明治19-昭和39) 哲学者。著書に『フッセルの現象学』などがあり、西田哲学を批判、現象学を日本に輸入した。
九鬼周造 1888-1941(明治21-昭和16) 哲学者。著書に『「いき」の構造』などがあり、偶然性の哲学を唱え、日本文化についても論じた。
和辻哲郎 1889-1960(明治22-昭和35) 倫理学者。著書に『倫理学』などがあり、風土の中で生きる間柄的存在としての人間について論じた。
柳宗悦 1889-1961(明治22-昭和36) 美学者。著書に『工藝の道』などがあり、民衆の生活の中にある民藝品を評価、日本民藝協会を設立した。
久松真一 1889-1980(明治22-昭和55) 仏教学者。著書に『東洋的無』などがあり、禅の思想を展開し「学道道場(後のFAS協会)」を指導した。
木村素衛 1895-1946(明治28-昭和21) 教育学者。著書に『フィヒテ』などがあり、西田の影響下でドイツ観念論、美学、教育学を研究した。
三木清 1897-1945(明治30-昭和20) 哲学者。著書に『構想力の論理』などがあり、唯物論の立場に立脚した人間学、歴史哲学を展開した。
西谷啓治 1900-1990(明治33-平成2) 宗教哲学者。著書に『ニヒリズム』などがあり、「ニヒリズムを通したニヒリズムの克服」を目指した。
戸坂潤 1900-1945(明治33-昭和20) 哲学者。著書に『日本イデオロギー論』などがあり、京都学派を批判継承しながら唯物論を唱えた。
下村寅太郎 1902-1995(明治35-平成7) 科学史家。著書に『ブルクハルトの世界』などがあり科学史だけでなくルネサンスなど歴史研究も行った。
井筒俊彦 1914-1993(大正3-平成5) 言語学者。著書に『意識と本質』などがあり、イスラーム研究から言語に立脚した東洋思想研究を行った。
丸山真男 1914-1996(大正3-平成8) 政治学者。著書に『日本の思想』などがあり、政治思想史を日本の歴史的背景から紐解いて論じた。
大森荘蔵 1921-1997(大正10-平成9) 哲学者。著書に『言語・知覚・物』などがあり、分析哲学から物心二元論を批判し独自の哲学を築いた。

文献案内

日本哲学史研究をはじめるにあたって役に立つ文献をまとめています。
※2004年時点の情報です。

1.日本哲学史研究への入門
1-1.近代日本哲学史入門
2.思想史
2-1.通史
2-2.明治
2-3.大正
2-4.昭和
2-5.戦後
3.もっと学びたい人のために
3-1.講座・叢書
3-2.方法論
3-3.比較思想
3-4.その他・発展的内容
4.調査・研究のために
4-1.辞典・事典
4-2.雑誌

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叢書・選書